2005年 基調提案


1,基調提案学習会

 今年度は、文書提案ではなく小学校:河田、中学校:稲垣の口頭提案で行った。子ども・学校の現状とその中での実践提起が行われた。

 河田提案では、小学校でもますます強まる多忙化と子どもそっちのけの管理主義(学級経営)が語られた。その中で、自分の生活スタイルを崩さない、実践スタイルを崩さない河田さんの姿勢が不動のものとして浮かび上がってきた。これは、自分の学校を「相対化」して生きる哲学があるからだ。学校の長時間労働に組みしない姿勢を貫くためには、哲学と実践が必要である。その実践の思想は、「弱者の視点に立って、聴き取る姿勢」である。管理者としてではなく、人間教師として子どもの前にたっているから、子どもは自分の心を河田さんに聴いてほしいと思ったのだろう。うらやましい限りである。人間教師として生きたいと思っていながら、つい、学校体制の中で管理主義者として振る舞ってしまっている自分を思う時、河田さんの確固とした姿勢を学び取りたい。

 稲垣提案は、「教師が楽しくなくては、子どもも楽しい学校にならない」という趣旨で行われた。自分で言うものなんだが、その通りだと思う。真面目に生きるのですが、遊び心を持って子どもとの会話も授業も行事も創り出していきたいものです。

 今年の基調は文章提案ではなかったが、参加者は自分の学校、実践をふり返りながら聞けた。しかし、聞いたものは残らない。文章だと残るのだが・・・。文章として残すのも大事だが、実践を残すこと、そして、実践の分析をもとにサークルを通して他の先生方をつながっていくことの方が、もっと今求められているのかも知れないとも感じた基調提案学習会でした。


2005年度 岐生研 中学校の基調

稲垣 勝義

1,教師が楽しくなくては、子どもも楽しい学校にならない!
 (教師の教育実践の自主性・社会性が生かされる学校になっているか?)

@ 学校体制としてがんじがらめ!

・生徒会組織がそのまま学級組織になる。
   半年間、変更なし!従って、班替えもなし!係変更もなし!
   その中で、学級・全校に対して貢献できる活動が仕組まれる。
           ↓
   上からの活動が、論議なしにおろされやらされる。(子どもの感覚では)
           ↓
  「点検評価」活動が委員会の仕事になる。
   給食時間に1A・・・と放送される。
   こどもの意識は、「また、言ってるなあ。・・・」
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「自分の学級の分析をし、活動を組織し、総括し、また進んでいく」という
  自治サイクルではなく、「適応」が求められる。
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・全校の取り組み、例えば「体育祭」などでは、事前取り組みという形で生活得点化され、体育祭の本番の点に入れられ、競われる。だから、クラスの現状はこうだからという話し合いの取り組みの時間がなくなり、全校の動きに巻き込まれてしまう。点数をとることだけが目的化され、取り組みを通してどんな働きかけをしていくか、人間関係をつくりだしていくかということは後方へ追いやられがちである。これを「管理主義」という?

*学校にとって、都合の悪い子=適応できない子は、「排除」される傾向!
  「きちんとした服装でこれなければ、家に帰ってきちんとしてから来なさい。」

*教師と子どものゆったりと話し合う時間が奪われている。自主性が学校体制の中で奪われている。

A 授業が、詰め込み!

 ・歴史=4大文明を1時間で!縄文時代と弥生時代を1時間で!という構成になっている。万事がそう!
 ・地理は、もう訳が分からない構成!
  (世界地理は、アメリカ・フランス・マレーシアだけ!世界の中から2〜3地域を選んで)
       ↓
   社会でいくと4・4・3だったのが、3・3・2,5に!もう限界!

B 殺人的な勤務!(人間として豊かになれない生活)
 ・部活の時間は、勤務時間外!
   朝は、7:40〜 夕方は、〜17:30まで!部活強化週間になると〜18:00まで!
 ・部活が終わってから、会議をくむ莫迦な教務!会議の開始時間が、黒板に書かれない!


2,どういう視点で教育実践をしていくの

  ――――全生研の今年度の基調テーマ――――
   子ども集団づくりがめざす公共性と自治
      〜子どもの生きづらさと向き合う〜
  ――――――――――――――――――――――
         ↓      ↑
 追い立てられる私たち教師!子ども!その中で何をしていくのか?何ができるの?

  小学校  低 → 中 → 高       中学校
担任がバラバラに仕事をしている!     学年の子どもは、学年教師みん
(いい意味でも悪い意味でも学級王国)   なで指導する。
                            ↓
<1> 教師も子どももハラハラドキドキの学年行事を創り出す
*若狭・三方研修(6月)→サバイバル体験もどき!
カッター訓練・・・テント泊・・・民宿の方と語る会・・・定置網・・・鯵の開き・・・魚釣り
↓           (漁師の生活・語る会)
*野田武男講演会(9月)

*職場体験学習(10月)・・・・

<2> 小さな所から対話・共同を!
*学年執行部での話し合い(学年執行部を持つ)
*ミニ三者協議会(不登校の子どもを真ん中に学校・親・病院の連携を)
   ・学校側(担任、学年主任、校長、相談員)+両親+精神科の先生が校長室に集う
*O先生を守る会 (中2の職員でつくる)
 「あなたは、家族のために仕事をしているの?それとも仕事にための家族を持っているの?」
        ↓
 5時から1時間過ぎたら、100円貯金箱へ!たまったらアイスクリームを食べよう!
 会員募集中!(打ち合わせで全職員に言う)

<3> 授業で討論を創り出す!(価値観を問う→考える)
中3「公民」平等権→玉置真人君「市立尼崎高校不合格取り消し訴訟」

「1991年6月、尼崎私立高校では、成績良好で健康面でも3年間の就学が可能と
診断されていた車イスの少年、玉置真人君を不合格とした。このような場合、「受け
入れ体制・設備の整った養護高等学校で学んでほしい」と言われると、それを受け入
れる家庭もある。だが、玉置君とその両親は「みなと同じ高校に入りたい」と不合格
取り消しを求めて訴訟を起こした。」

     協力すべきだ! ←――――――――――→ 迷惑だ!
     (助け合い)         ○    (一人のためにみんなが気を遣う)
                     |
               ○―――|―――○ 横びが平等 =共同・共生
                     |
                     ○
                    差 別
                    (人間関係を上下関係でみる)



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